【2025流行語大賞】なぜ「グエー死んだンゴ」が選ばれていないの?

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【2025流行語大賞】なぜ「グエー死んだンゴ」が選ばれていないの?
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2025年12月のある日、X(旧Twitter)を眺めていると、こんなポストが目に入りました。

2025年の流行語大賞 医療部門は、「グエー死んだンゴ」に決まりました!

流行語大賞は「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」か、当然だよね

筆者も「そうかそうか、そうだよね」と納得。


ところで、2025年12月1日に、今年の「T&D保険グループ 新語・流行語大賞」が発表されました。

選出されていた30語のうち、年間大賞には「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれました!

えっ!?「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」じゃないの???

なぜ、2025年にこれほど広く世の中をにぎわせ、社会的な価値を生んだ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が、「新語・流行語」に選ばれていないのでしょうか?

ちょっとどういうことかわからないので、思うところを書き連ねてみました。

グエー死んだンゴ」はノミネート30語にも入っていません。
筆者が見た投稿は、願望と皮肉を混ぜた感情だったのでしょう。

【2025年12月13日追記】
ネット流行語 100』2025年間大賞が発表され、ニコニコユーザーによるアンケートで選ばれる「ニコニコ賞」に「グエー死んだンゴ」が選ばれました!

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目次

「グエー死んだンゴ」とは

ネットスラングとして知られる「グエー死んだンゴ」は、2025年、単なるミームを超えた社会的な意義を持ちました。

希少がんと闘病していた元北海道大学学生の中山奏琉(なかやま かなる)さんが、22歳で亡くなる直前にX(旧Twitter)に予約投稿した最期のメッセージ、それが「グエー死んだンゴ」でした。

これは、ネットスラングを自らの死に際してユーモアを交えて使ったものであり、この投稿は大きな社会現象と、支援の連鎖を生み出しました。

中山さんは10月10日の投稿で「多分そろそろ死ぬ」と投稿。
13日のお友達による代理投稿で、12日夜に亡くなったと伝えられていました。

その翌日14日に「グエー死んだンゴ」が投稿されて、見た人は「亡くなった人が投稿した???」と、驚いて、笑ったあとに、悲しくなったんだよね

1. 笑いと悲しみが共存した8文字

グエー死んだンゴ」の最も顕著な特徴は、「死」という究極の悲しみと、ネットスラングが持つ笑いが共存している点です。

中山さんは、自分の死後に仲間たちを驚かせ、笑ってもらいたいという思いでこの投稿を予約したのかもしれません。

筆者は、このメッセージを見たとき、ネットスラングの軽さに思わず笑いつつも、「自らの死を笑いに昇華させるのか」と胸が痛むような、なんとも表現し難い感情になりました。

間違いなく、2025年で最も心を揺さぶられた言葉の一つでした

2. 「香典包んだンゴ」「成仏してクレメンス

心が揺さぶられたのは筆者だけではありませんでした。

中山さんの「グエー死んだンゴ」は、1ヶ月足らずで3億回以上閲覧され、多くのユーザーは同じくネットスラングで「成仏してクレメンス」と追悼のメッセージを返信しました。

通常であれば「お悔やみ申し上げます」「ご冥福をお祈りします」などというべきであり、不謹慎と捉えられかねない成仏してクレメンス」こそ、「グエー死んだンゴ」に対しては最も敬意を払った最適なお悔やみの言葉として受け止められたのです。

さらに、このムーブメントは単なる追悼で終わらず、具体的な支援行動へと繋がりました。

「香典代わり」として、国立がん研究センターなどのがん研究施設に寄付をする香典包んだンゴ」というムーブメントが発生し、数千万円規模の寄付が寄せられるという支援の輪が生まれたのです。

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Q. なぜ「グエー死んだンゴ」が選ばれていないの?

これほど「広く大衆の目・口・耳をにぎわせ」、社会的な価値を生んだグエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が、なぜ流行語大賞に選ばれないのでしょう

実際に「新語・流行語」のノミネート30語やトップ10に選ばれた言葉を見て、「知らない」「本当に流行した?」という疑問を持つ言葉もあると思います。
筆者も、「この言葉は知らないかも」と思う言葉があります。

なぜ「新語・流行語大賞」と「国民の実感」にズレが生じているのでしょうか。

前提|新語・流行語大賞とは

本題に入る前に、前提として「新語・流行語大賞」がどういったものなのか知っておきましょう。

新語・流行語大賞」は1984年(昭和59年)に始まったもので、毎年12月1日に年間大賞などが発表されます。
その年に世の中で広く話題になった言葉を選び出し、その年の世相を映す鏡として毎年注目を集める賞です。

公式サイトによると、「新語・流行語大賞」の定義・目的・選考基準は次のとおりです。

1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの。

(引用:『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ新語・流行語大賞 公式サイト

自由国民社の『現代用語の基礎知識』編集部が候補語を選んだ後、選考委員(言語学者やジャーナリスト、タレントなど、2025年は6名)によってノミネート30語と、トップ10および年間大賞(合計10語)が最終決定されます。

「現代用語の基礎知識」は、辞典・用語辞典の一種です。
現代用語に新語を加え、毎年11月頃に発行されています。

補足:「新語・流行語大賞」の名称の変遷
  • もともと、出版社である「自由国民社」が主催
  • 2003年に通信教育大手の株式会社ユーキャンと提携
    翌年から「『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞」に改称
  • 2025年にT&D保険グループが特別協賛
    『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ新語・流行語大賞」に名称変更

A1. 選ばれるのは世相(流行語ではない)

Q. なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないの?
A1. 選ばれるのは世相であって、流行語ではないからです!

多くの人が「流行語大賞はおかしい」と感じる背景には、選考委員によって選ばれる言葉と人々の実感がズレている点にあります。

「流行語を選ぶというのなら、本当にみんなが知っていて、みんなが使った流行語が選ばれるべきなんじゃない?」と思いますよね?

しかし、「新語・流行語大賞」の定義によると、選考基準は「最も流行した言葉」ではなく、「世相を衝いた表現」なのです。

例えば、政治関連の言葉。
2014年の「集団的自衛権」や2025年の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります 」のように、国民が日常的に使う言葉ではないけれども、その年の社会現象を象徴しているという理由で選ばれます。

お笑い芸人の一発ギャグのような「めちゃくちゃ流行した言葉」ではなく、「その年に社会に定着した言葉を選ぶよ」と言っているのです。

流行語」という言葉に惑わされますが、本来その年の「世相をついた表現」を選ぶものなのですね!

「世相」って言われると、「グエー死んだンゴ」よりも政治ネタが強いかなって思うかも

A2. 「全国民が知っている言葉」の消滅

Q なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないの?
A2. 現代では「全国民が知っている言葉」が消滅してしまったからです!

かつては、ほとんどの人がテレビから同じ情報を受け取っていたため、「新語・流行語大賞」は、真に「その年の世相を表す行事」として機能していました。
個人の興味・関心と関係なく、「国民みんなが知っていて当たり前の言葉」が毎年生まれていたのです。

しかし、今は違います。
SNSやネットで自分が好きな情報だけを選び取ることができますし、誰もが自分が興味のあるものだけを追う時代です。

例えば、筆者が「グエー死んだンゴ」が今年の流行語にふさわしいと感じても、そのカルチャーをまったく知らない人もまだたくさんいます。
逆に、筆者が興味のない野球界の流行語が大賞になることも、ままあります。

この時代において、流行語は「全国民が知っている言葉」から、「小さなコミュニティごとの言葉」へと変化してしまったのではないでしょうか。

価値観も趣味も情報源も細分化された現代では、一つの言葉で社会全体を象徴すること自体が困難なのだと考えます。

新語・流行語大賞」は、「全国民が知っている流行」を選定するという役割を終えたと認めるときが来ているのかもしれません。

グエー死んだンゴ」に限らず、
現代には「全国民が知っている言葉」が存在しないのですね

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A3. ネガティブな言葉を避けている

Q なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないの?
A3. 選考委員の配慮で、ネガティブな言葉は避けているのかも!

1年を締めくくる「新語・流行語大賞」は、できるだけ明るい話題を選出し、あとあと振り返った時にも明るい気持ちになりたいものです。

例えば、その年に起きた凄惨な事件などは、どれほどその年の世相を表して世間に広く認知されていても、「新語・流行語大賞」にふさわしくない気がしますよね(例:1995年に起きた地下鉄サリン事件など)。

「スポンサーのイメージへの配慮」という大人の事情もあるかもしれません

しかし、筆者個人としては、「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」をネガティブな言葉だと捉えることはできません。

この言葉は、若くして亡くなった中山さんが、死を前にしてもユーモアを失わなかった証であり、多くの人に笑いと感動、そして支援の行動を引き起こしました。
中山さんのお父様も、悲しい気持ちはありながらも、「息子を誇らしい」と語っています。

これは、死をポジティブな力に変えた物語です。

年間大賞とは言わずとも、せめてノミネートされることで、中山さんの物語を後年も思い出せる、覚え続けていられる場ができたと思うのです。

「グエー死んだンゴ」に何度でも触れ、中山さんを思い出すことで、その都度「香典」という名の寄付や、中山さんの遺志を継ぐ活動が続いていくことになったはずです。

もしも「ネガティブワードの排除」という基準があるとして、それが「グエー死んだンゴ」という死の表現を「新語・流行語大賞」から遠ざけたのだとしたら、それが「国民の実感とのズレ」の根本的な理由ではないでしょうか。

A4. 選考開始に間に合わなかった

Q なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないの?
A4. 選考委員会の動き出しは10月下旬ころなので、11月以降に出現した言葉は土俵に乗っていないかも!

これ一番どうしようもないやつじゃん

流行語大賞の選定は、おおむね以下のスケジュールで進行しているようです。

  • 10月下旬: 選考委員会が動き出し、ノミネート語の検討を開始
  • 11月上旬: ノミネート30語を発表
  • 12月1日 : 年間大賞を発表

このスケジュールを見ると、「新語・流行語大賞」選定の土俵に乗るためには、10月下旬までには広く世間に認知されている必要がありそうです。

なお、「グエー死んだンゴ」が投稿されたのは2025年10月14日です。

X(旧Twitter)ユーザーからは、投稿後すぐに大きな反響があったものの、その後に「社会貢献ムーブメント」や「ニュースでの大々的な報道」が起きたのはもう少し時間が経ってからです。

よって、グエー死んだンゴ」が選考委員の目にとまり、リストに載せるかどうかの議論が行われるまでには、時間が足りなかった可能性があります。

ちなみに、高市首相が自民党総裁戦に勝利し「働いて…」と発言したのは2025年10月4日でした。

実際に、例年、10月下旬以降に爆発的に流行した言葉は、ノミネートの土俵に乗らずに終わるケースが多々あります。

流行語大賞は、その年の秋までに定着した言葉を振り返る賞なんだね。
2か月間がもったいないなぁ。

2か月分も選考に含めて、翌年になってから発表してもいいかもですね
(年末の盛り上がりには欠けますが)

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おまけ ⭐︎ SNS流行語大賞

近年は、ネット上での真の流行を測る賞として「SNS流行語大賞」も注目されています。

これは、ネットセキュリティ事業を行う「イー・ガーディアン株式会社」が主催している賞で、選考基準は、「X(旧Twitter)上でつぶやかれた回数」という明確なデータに基づいています。

  • 主催   イー・ガーディアン株式会社
  • 集計期間 毎年1月1日~10月31日
  • 選考方法 期間内にX(旧Twitter)で最もつぶやかれたフレーズを抽出

2025年の「SNS流行語大賞」は、累計450万回以上つぶやかれた「ミャクミャク」が年間大賞に決定しました。

ミャクミャクって、最初よりかわいく見えてきましたよね?

まとめ

なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないのかという疑問をきっかけに、途中では「現代における新語・流行語大賞の必要性」にまで迫ってしまいましたね。

記事が長くなりましたが、筆者が考えた Q&A をまとめます。

Q. なぜ「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」が「新語・流行語大賞」に選ばれていないの?

A1. 選ばれるのは「世相」であって、流行語ではないから
A2. 現代では「全国民が知っている言葉」が消滅してしまったから
A3. ネガティブな言葉を避けているのかも
A4. 11月以降に出現した言葉は土俵に乗っていないかも

筆者にとって「グエー死んだンゴ」「成仏してクレメンス」は、この先もずっと忘れることができない愛すべき言葉です。

もし、今後「新語・流行語大賞」が役割を終えたとしても、私たちは心に残った言葉をこれからも大事に語り継いでいけばいい、そう思います。

ぼくは「チョコミントよりもあ・な・た♡」がトップ10でもいいと思う!

リュウジ、信じてるからな」も10月下旬に間に合わなかったですね

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