2026年9月2日に報道されたニュースにより、代表作『聖闘士星矢』で知られる漫画家・車田正美氏の会社から、長年連添った元マネージャーとその関係者によって、約46億8000万円ものお金が横領されていたことが分かりました。
会社側は奪われたお金を取り戻すため、東京地裁に裁判を起こしています。
このニュースを見て、私は「なぜそんな大金があるの?」「どうして長年気づけなかったの?」と疑問に思いました。
『聖闘士星矢』が今も稼ぎ続ける仕組みと、会社で起きた事件の裏側をわかりやすくまとめました。
漫画家の車田正美さん代表の会社 横領被害で28億円余求め提訴https://t.co/AP8PNaw3TA #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) September 2, 2026
『聖闘士星矢』で46億円?車田正美氏の会社の収入源
車田正美氏は現在も『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』などの新作を描いていますが、それ以上に世界中から入るライセンス収入(権利のお金)が圧倒的です。
日本にいると見えにくい、巨大な3つの収入源を紹介します。
1. 海外市場での圧倒的な『聖闘士星矢』人気
『聖闘士星矢(セイントセイヤ)』は、中南米(ブラジル・メキシコなど)、ヨーロッパ(フランス・イタリアなど)、中国で社会現象になるほど人気があります。
ギリシャ神話をモチーフにした鎧(聖衣・クロス)を着て戦うデザインが現地で大ヒットし、1980年代から世代を超えて愛されているのです!
- スマートフォン向けゲームのライセンス
- 海外のゲーム会社が作ったアプリが世界中で遊ばれており、車田正美氏の会社に継続して権利料が入ります。
- 海外向けのアニメや実写映画
- Netflixの3DCGアニメ
- 2023年のハリウッド実写映画『ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック』
- これらは海外ファン向けに作られた世界規模のプロジェクトです(日本では大きなバズとまでいきませんでした)。
2. パチンコ・パチスロ(遊技機)業界での超大型ヒット
日本国内で一番の収入源になっているのがパチンコ・パチスロ市場です。
2008年の初登場から現在までに『聖闘士星矢』の台は10種類以上も作られています。
- 歴史的ロングセラー機
- 特に2017年のパチスロ『聖闘士星矢 海皇覚醒』は、業界の歴史に残る超大ヒットになりました。
- 高額な版権料
- 本の印税は売上の約8〜10%であるところ、パチンコ業界の契約金は1機種で数億円〜数十億円動きます。
- 何種類も新しい台が作られ続けることで、桁違いのお金が入ってきます。
3. 高価格帯フィギュア「聖闘士聖衣神話」の世界的ロングセラー
BANDAI SPIRITSが販売する大人向けフィギュア「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」は、2003年の発売から20年以上売れ続けています。
- 高単価な商品:1体1万〜3万円以上と高額ですが、作りの良さから国内外のコレクターに人気です。
- 世界的な流通:アジアや欧米で買われ続けているため、安定して印税やライセンス料が入ります。
『聖闘士星矢』横領事件の社内体制
車田正美氏には、漫画を描くスタジオだけでなく、複雑な権利関係とお金を扱う会社が3つありました。
- 車田プロダクション:漫画制作やアシスタント管理をする会社
- NEXT WING:作品の著作権やライセンス契約を専門に行う会社
- K-PROJECT:海外展開やイベントなどのお金を管理する会社
一人の大物漫画家が生み出す巨額の権利を守るために、これらの会社が存在しています。
なぜ元マネージャーが会社の経理を握っていたのか?
大物漫画家になると、外部との契約交渉やスケジュール管理を任せる事務の責任者(マネージャー)が必要になります。
今回の横領事件の主犯とされる元マネージャーM氏は、もともと集英社で『聖闘士星矢』の編集を担当していた人物です。
集英社を辞めたあと、車田正美氏に腕を買われて会社の社長やマネージャーとして引き抜かれました。
長年『聖闘士星矢』の担当編集者を務めてくれた人物だったからこそ、車田正美氏はM氏を深く信頼していました。
どうやって外部や社員の目を盗んで横領したのか?
M氏は「車田先生は芸術家で人間嫌いだから人と会わない」と外部に嘘をつき、関係者が車田正美氏と直接話せないように窓口を自分一人にまとめていました。
なお、車田正美氏本人は決して人間嫌いではなく、作品づくりに専念したい気持ちを利用された形です。
さらに、社内の他のスタッフにも「経理は自分がやっているから大丈夫」と近づけさせず、社内でもお金の流れを隠していました。
M氏が行った横領の手口は次の3つです。
- 自分が作ったペーパーカンパニーへの送金
- 管理会社「NEXT WING」とそっくりな名前の会社を作り、海外からのライセンス料をその口座に振り込ませる
- 親族口座や自分名義の口座への直接送金
- 通帳や印鑑をM氏1人が握り、チェックする人が誰もいなかったため、長年バレなかった
- 複雑な保険制度の悪用
- 会社から払った保険料を、海外の複数の保険会社をグルグル経由させ、最終的にM氏の海外口座に入金させるマネーロンダリングを行っていた
なぜバレた?国税局の税務調査
長年バレずに横領を続けていたM氏ですが、税金のチェック機関である国税局(査察部)は見逃しませんでした。
『聖闘士星矢』が大ヒットしているわりに売上や納税額が妙に少ないことから、脱税を疑った国税局が、車田正美氏の会社に2024年2月に税務調査に入ったのです。
その結果、脱税ではなく元マネージャーM氏による横領が判明しました。
M氏は会社の売上(ライセンス料)を自分のペーパーカンパニーや親族の口座へ流していたため、会社の売上として上がっておらず、その分を納税していなかったのです。
M氏は車田正美氏の偽サインを使って誤魔化そうとしましたが、国税局の調査によって約46億円もの横領が暴露されました。
なぜ今ニュースになった?
2024年2月に発覚してからニュースになるまで時間がかかったのは、弁護士たちがM氏の隠し財産を調査していたからです。
M氏は横領したお金で暗号資産(仮想通貨)を買って隠していましたが、弁護士チームが取引ルートを突き止めて口座を特定しました。
暗号資産はすぐに現金化できるため、まずは約18億円分を回収・弁済させる作業を秘密裏に進めていました。
一方で、残りの約29億円はM氏の事業の失敗や豪遊などで使い切られており、すぐには回収できませんでした。
そのため、2026年9月2日、残りの約28億9,000万円の支払いを求めて東京地裁に裁判を起こしたタイミングで一斉に報道されました。
この裁判にあたり、車田正美氏は「私利私欲のために信じていたものを平気で裏切る人間がいるのかと、一時は人間不信になりかけた」と胸中を明かしています。
まとめ
今回の、車田正美氏の会社の横領事件のポイントをまとめました。
| 項目 | 詳細・数字データ |
| 被害総額 | 約46億8,000万円(うち約18億円は回収・弁済済み) |
| 今回ニュースになった理由 | 回収しきれなかった約28億9,000万円の支払いを求め東京地裁に提訴したため |
| 車田正美氏の会社の主な収入源 | ①海外市場(アプリゲーム・アニメ・実写映画) ②パチンコ・パチスロ(10機種以上・海皇覚醒など) ③高級フィギュア(聖闘士聖衣神話シリーズ) |
| 社内体制の課題 | 元マネージャーのM氏1人に経理や窓口を丸投げし、チェック体制がゼロだった |
世界的ヒット作を持つ会社だからこそ、莫大な権利収入が入る一方で、お金の管理を1人に任せきりにする怖さが浮き彫りになった事件でした。
一時は事件の影響で「原画展」が延期される事態にもなりましたが、車田正美氏は「世界中のファンのために今後も執筆を続けていきたい」と力強く前を向いています。
延期されていた原画展も順次開催される予定となっており、今後の裁判のゆくえを見守りつつ、作品づくりに打ち込む車田正美氏を応援したいですね!
