ひきこもりの当事者が高年齢化しているというニュースが注目を集めています。
私の友人も子どもが小学生の時に不登校になったり、子どもたちの同級生もかつて不登校だったり、現在進行形で学校に通えていないという話をよく耳にします。
ふと思うのですが、ひきこもりや不登校の人って、もしかして自分専用の快適な「子供部屋(個室)」があるんじゃないかな?
当事者の悩みも知らずに不謹慎を承知で言うのですが、「なんでも揃っている快適な個室があるから、外に出なくなったのではないか」と思ってしまうのです。
かくいう我が家は狭い社宅で家族5人が暮らしており、子どもたちに個室を与える余裕がないため、毎日リビングに家族全員が集まってわちゃわちゃ過ごしています。
(思春期なのにプライベートな空間がないので、それはそれでごめんねと思っています。)
しかし、「個室がなければ引きこもらない」とも言い切れず、実態はもっと複雑なようです。
個室の有無とひきこもりの関係について、ちょっと考えてみました。
ひきこもりの4割超が40歳以上
「ひきこもり」と聞くと、なんとなく10代や20代の若者の悩みをイメージしてしまいますが、実態は大きく変わってきているようです。

筆者は「不登校」とごっちゃに考えてるから若者のイメージなのかもね
- 「ひきこもり当事者」の平均年齢が上がっており、40歳以上が43.1%
- 就職氷河期世代が冷遇され、適切な支援がないまま放置されてきた
- 「ひきこもり当事者」と、その親も高齢化
2025年末から2026年1月にかけて実施された最新の調査によると、ひきこもり当事者の平均年齢は36.9歳。
調査開始時よりも明らかに高くなっています。



なお、「ひきこもり家族会」によるこの実態調査が始まった2014年当時の平均年齢は33.1歳だそうです
いまや当事者のうち40歳以上が43.1%であり、50代以上に絞っても1割を超えています。
この「ひきこもり当事者の高齢化」の背景には、就職氷河期に社会から冷遇され、「心が折れたまま長年放置されてきた」という深刻な社会構造が横たわっているのではないかと考察します。
(筆者も就職氷河期世代ど真ん中、同年代ですからね。)
中には、60代のひきこもり当事者を90代の親が支えるといった、親子共々高齢化して社会から孤立してしまうケースも増えているそうです。
「ひきこもりの高齢化」のカラクリ
令和4年度の内閣府(こども家庭庁)の調査によると、世代別のひきこもり当事者の割合は、15〜39歳が2.05%、40〜64歳が2.02%と、大きな差はありません。
つまり、日本人の人口そのものが高齢化しているので、各世代の割合が「約2%前後」とほぼ同じでも中高年層の人数が「43.1%」と目立って見えているんですね。
「就職氷河期世代はひきこもる人が多い」のではなく、どの世代でも一定の割合(約2%)でひきこもりは生まれる。
ただ、人口の多い氷河期世代がひきこもったまま年齢を重ねてしまったことで、解決できないまま放置された人たちの存在が、いま「ひきこもり当事者の高齢化」という形で浮き彫りになっている、ということなんですね。



ニュース記事って、数字の使い方で印象操作できちゃうの怖いね


引用:こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)「第2章 ひきこもりに関する状況等」抜粋
個室がなければひきこもらない?
のほほんと生きている筆者は、失礼ながら「テレビもネットもなんでもある快適な個室があるから、部屋に閉じこもるのでは?」と、つい考えてしまいます。
確かに、個室の中で生活がすべて完結してしまうと、外に出るきっかけを失いやすくなるのは事実のようです。
ですが、調べてみたところ「個室がなければひきこもらない」というわけでもないようです。
- リビングひきこもり
- 家族共有のテレビやパソコンがあるリビングを少しずつ占領していき、家族を追い出してしまう
- 家族が侵食される
- リビングであっても、当事者がそこから動かず家族に壁を作ってしまうと、家族全員が団らんの場を失ってしまう
- 場所より心の状態
- ひきこもりたいほど心が疲れている人は、どんな場所であっても自分の殻に閉じこもる
結局、物理的な「個室や子ども部屋の有無」よりも、精神的にその場所が「自分だけの快適な要塞」になってしまっているかどうか、という問題のようです。
個室・子ども部屋は必要?
これから家を建てたり、子育て環境を整えたりする親御さんにとって、「自立」を助けるはずの部屋が「孤立」の場になってしまうのは避けたいですよね。
- あえて部屋の役割を絞る
- 個室で全てを完結させない工夫
- リビングを居心地のいい一番の場所にする
まず物理的な工夫として、個室の役割を「寝るだけの場所」に絞ってみるのは一つの手です。
部屋の機能をあえて限定することで、生活のすべてが自室で完結してしまうのを防げます。
特に注意したいのが、ネット環境やテレビ、ゲーム、さらにはミニ冷蔵庫まで揃った「完結型」の部屋にしないこと。
何でも揃っていると、どうしても部屋から出る必要性がなくなってしまいます。
理想は、かつての「寒い個室、暖かいリビング」のように、家族が集まる場所に自然と足が向く仕組みを作ること。
リビングを家の中で一番居心地の良い場所にすることで、無理強いしなくても家族が顔を合わせる機会は自然と増えていくはずです。
不登校やひきこもりの背景には、いじめや職場の挫折など、本人の力だけではどうしようもない「外の外傷」が隠れていることが多いものです。
「ひきこもる個室がない大丈夫」と環境で縛るのではなく、万が一外でつまずいた時に「リビングなら安心して話せる、居場所がある」と思えるような、家族の空気感を作っておくことこそが、本当の意味でのひきこもり対策なのかもしれませんね。
まとめ
今回のポイントを3点に凝縮してまとめます。
- ひきこもりの高齢化
- 引きこもりの平均年齢は約37歳まで上昇
- 実はどの世代も「約2%」が引きこもる割合
- 人口の多い氷河期世代が、適切な支援を受けられないまま年齢を重ねた結果が「ひきこもりの高齢化」という数字
- 「個室がないならひきこもれない」とは言い切れない
- 個室があるから引きこもるわけではなく、部屋がなければ「リビングに引きこもる」というケースもある
- 問題は、精神的な「孤立した要塞」になっていないかどうか
- 自立を助ける、完結させない部屋づくり
- 個室や子ども部屋づくりをする際は、個室を「寝るだけ」など機能を絞る
- 全てが揃った「快適すぎる個室」は、外に出るきっかけを奪ってしまうおそれがある
- 家族が自然と集まるリビングの居心地を整え、心の通い路を確保しておくことが大切
「ひきこもる個室がないから安心」と物理的に縛るのではなく、万が一外でつまずいた時でも「リビングなら安心して話せる」と思える空気感が、家族ができる最大の引きこもり対策なのかもしれません。



